『LGBTだけじゃない! わたしの性 性役割/性別表現』
この本は、「多様性」や、「性別らしさ」など世の中でいわゆる当たり前とされてきたことに、本当にそうなの?と問いかけ、LGBTだけじゃない私たちの「性」をどんなものも肯定していきます。言葉にするって大事だなぁと感じながら、子どもからカミングアウトを受けて戸惑っている親も先生方も子どもたちも、みんながストンとこの視点に立てたらいいなと思いました。
2024/02/19 レビュアー:はるか
セクシュアルマイノリティ(LGBTQ+など)について知りたい、
LGBTQに関する図書を読んでみたい。
ここではスタッフのおすすめ本の紹介と、SHIPで読める本を
調べることができます(蔵書検索は準備中です)。
この本は、「多様性」や、「性別らしさ」など世の中でいわゆる当たり前とされてきたことに、本当にそうなの?と問いかけ、LGBTだけじゃない私たちの「性」をどんなものも肯定していきます。言葉にするって大事だなぁと感じながら、子どもからカミングアウトを受けて戸惑っている親も先生方も子どもたちも、みんながストンとこの視点に立てたらいいなと思いました。
2024/02/19 レビュアー:はるか
東野というからにはミステリーだ。驚くのは、昨今ならまだしも「3年B組金八先生」ですらまだ取り上げていなかった「性同一性障害」を題材に、友情と恋愛を絡ませてミステリー仕立てにした作品であることだ。東野は、登場人物に、男と女の境目は書類(戸籍)が正しいというわけじゃなく、メビウスの帯のような連続線だと言わせている。ジェンダー多様性に対して一方的な決めつけをする社会への怒りも随所に感じる。片想いの主についても複層的。ジェンダー違和についても何が正しくてなにが的外れかなどと考えること自体がお門違いな気がして東野のミステリー世界に迷い込む。しかし、読後の気分は良い。東野圭吾、恐るべし。
2024/01/15 レビュアー:はるか
主人公のたまごちゃんが、いろいろな”かぞく”に会うために旅に出るというお話の絵本です。家族という言葉からイメージするものは人それぞれだと思うけれど、”かぞく”にも色々な形があって、それに対するたまごちゃんのコメント、思いが素敵。ぜひ読んでみてください。
2023/12/18 レビュアー:蒼
まず、「入門」と言いながら他の入門書とはあきらかに一線を画していた。様々なデータを用いてトランスジェンダーの現状を明らかにし、単に身体の性と心の性が違うという理解にとどまらないトランスジェンダーの全体像を明らかしている。ノンバイナリーについても触れられている内容は深くて幅広く、社会啓蒙という意味でも心強い「入門書」。少数派への社会の不条理に対する著者らの憤りを感じて、読み進めるうちに背筋が伸びた。トランスジェンダー理解を目指す人には、是非一読を勧めたい。
2023/11/20 レビュアー:ハルカ
小4のジョージ、身体は男の子だけど、本当の自分はメリッサ。今度、クラスの劇で「メス蜘蛛」の役を希望して練習しているけれど、周りの人には聞き入れてもらえない。家族、友達、学校、場面場面での心情と出来事がとても丁寧に描かれていて、自分も追体験しているような気分になり途中ハラハラしながら読みました。著者は実体験も踏まえた本書を完成させるまでに12年かけたそうです。児童書の体を取っていて難しい表現はないのですが、削りに削った言葉の中に何か深いものを感じました。
2023/10/16 レビュアー:ほたるいか
自分っていったい何者なんだろう。立場や考え方が違う二人のトランスジェンダーの、自分を探る過酷で長い冒険の旅の記録のような往復書簡。お互いにそっと柔らかく気遣い、鋭く切込み、互いに傷つき、それでも何かを少しずつ発見していく。ゴールは見えないけれど、それでも前に進まざるを得ない苦しみ。なんともしんどい旅なのだけど、二人のやりとりの言葉の豊かさと真剣さ、暖かさに手を引かれて自然と読み進んでしまいます。たとえゴールは見えなくても、光はいつかちゃんと見えてくる。そんな本です。
2023/09/18 レビュアー:しまこ
多様な家族について、小さな子でも分かりやすいように書かれています。男性同士の家族、お母さんが二人いる家族、人種や肌の色が違う家族、障がいのある人がいる家族、世界には色々な家族の形があることを教えてくれます。でもでも、同じだと思っている家族でも、それぞれ好きなことは違っていたり。「世界にはいろいろな家族がいて、ひとりひとりみんな違う」そんな、当たり前のことを思い出させてくれる一冊です。
2023/08/21 レビュアー:拓人
新宿二丁目のレズビアンバーに集っている人たちのそれぞれの物語が展開されるというオムニバス構成で、細切れ読書の可能な作品だと思います。私が特に印象に残ったのは「太陽花たちの旅」という短編で、台湾で2014年に起こった「ひまわり学生運動」を取り扱っており、台湾出身の著者ならではの視点であり、また、報道だけではわからない、そこで運動をしていた側の人たちの空気感がよくわかったような気がしました。また、「日暮れ」と「五つの災い」という2つの短編の中に、SHIPがモデルになっている?と思う箇所がありました。ぜひ探して読んでいただきたいです。
2023/07/17 レビュアー:ほたるいか
台湾出身の作家が描く、ビアンバーが舞台の連作集。冒頭の「日暮れ」という短編にはSHIPがモデルと思われるコミュニティセンターが出てくるのだが、デビューの時の回れ右して帰りたくなるくらいの緊張感、反動でちょっとタイプの人を見つけたら忽ち落ちてしまう(吊り橋効果)チョロさには覚えがあり懐かしくなった。
相手に全て委ね依存している主人公に辟易してしまうが、初恋なんて大概セクシュアリティを問わずこんな風にみっともないような気もするので、ビアンだからと美化せず等身大に描いているところがいい。
他の短編を読み進めると「ポラリス」と題されている通り、様々な性の有り様を俯瞰的な視点をもって眺めることができる。
2023/07/17 レビュアー:ひじりぃ
マツコ・デラックス氏が表紙を飾り、巻頭で消しゴム版画家・ナンシー関と対談した(発刊当時はナンシー氏を登場させたことのほうが話題だったが)おそらく女装家・マツコが一般メディアデビューした記念碑的な号です。内容は哲学書を数多く出す出版社のサブカル雑誌らしく、難解なところもありますが、神話から江戸時代までの日本文学における「醜さ」の取り扱いの変遷やら、決して美人とは言えなかったある銀幕のスタアの生涯の評論やら、じつに多様な方向から美醜とはなにか、醜き「私たち」の価値や生き残り術など、好奇心を満たす記事が満載です。
SHIPの蔵書は全て「閉架」=貸し出し不可ですので、ぜひ若き日のマツコさんに会いに、足を運んでください。
2023/06/19 レビュアー:Miyaken.