メニュー

おすすめの図書

セクシュアルマイノリティ(LGBTQ+など)について知りたい、
LGBTQに関する図書を読んでみたい。
ここではスタッフのおすすめ本の紹介と、SHIPで読める本を
調べることができます(蔵書検索は準備中です)。

スタッフのおすすめ図書

『ジョージと秘密のメリッサ』

アレックス・ジーノ (著), 島村 浩子 (翻訳) / 2016 / 偕成社

小4のジョージ、身体は男の子だけど、本当の自分はメリッサ。今度、クラスの劇で「メス蜘蛛」の役を希望して練習しているけれど、周りの人には聞き入れてもらえない。家族、友達、学校、場面場面での心情と出来事がとても丁寧に描かれていて、自分も追体験しているような気分になり途中ハラハラしながら読みました。著者は実体験も踏まえた本書を完成させるまでに12年かけたそうです。児童書の体を取っていて難しい表現はないのですが、削りに削った言葉の中に何か深いものを感じました。

2023/10/16 レビュアー:ほたるいか

『埋没した世界~トランスジェンダーふたりの往復書簡~』

五月あかり・周司あきら / 2023 / 明石書店

自分っていったい何者なんだろう。立場や考え方が違う二人のトランスジェンダーの、自分を探る過酷で長い冒険の旅の記録のような往復書簡。お互いにそっと柔らかく気遣い、鋭く切込み、互いに傷つき、それでも何かを少しずつ発見していく。ゴールは見えないけれど、それでも前に進まざるを得ない苦しみ。なんともしんどい旅なのだけど、二人のやりとりの言葉の豊かさと真剣さ、暖かさに手を引かれて自然と読み進んでしまいます。たとえゴールは見えなくても、光はいつかちゃんと見えてくる。そんな本です。

2023/09/18 レビュアー:しまこ

『いろいろいろんなかぞくのほん』

著者 メアリ・ホフマン/絵 ロス・アスクィス/訳すぎもとえみ / 2018 / 少年写真新聞社

多様な家族について、小さな子でも分かりやすいように書かれています。男性同士の家族、お母さんが二人いる家族、人種や肌の色が違う家族、障がいのある人がいる家族、世界には色々な家族の形があることを教えてくれます。でもでも、同じだと思っている家族でも、それぞれ好きなことは違っていたり。「世界にはいろいろな家族がいて、ひとりひとりみんな違う」そんな、当たり前のことを思い出させてくれる一冊です。

2023/08/21 レビュアー:拓人

『ポラリスが降り注ぐ夜』

李琴峰 / 2020 / 筑摩書房

新宿二丁目のレズビアンバーに集っている人たちのそれぞれの物語が展開されるというオムニバス構成で、細切れ読書の可能な作品だと思います。私が特に印象に残ったのは「太陽花たちの旅」という短編で、台湾で2014年に起こった「ひまわり学生運動」を取り扱っており、台湾出身の著者ならではの視点であり、また、報道だけではわからない、そこで運動をしていた側の人たちの空気感がよくわかったような気がしました。また、「日暮れ」と「五つの災い」という2つの短編の中に、SHIPがモデルになっている?と思う箇所がありました。ぜひ探して読んでいただきたいです。

2023/07/17 レビュアー:ほたるいか

『ポラリスが降り注ぐ夜』

李琴峰 / 2020 / 筑摩書房

台湾出身の作家が描く、ビアンバーが舞台の連作集。冒頭の「日暮れ」という短編にはSHIPがモデルと思われるコミュニティセンターが出てくるのだが、デビューの時の回れ右して帰りたくなるくらいの緊張感、反動でちょっとタイプの人を見つけたら忽ち落ちてしまう(吊り橋効果)チョロさには覚えがあり懐かしくなった。
相手に全て委ね依存している主人公に辟易してしまうが、初恋なんて大概セクシュアリティを問わずこんな風にみっともないような気もするので、ビアンだからと美化せず等身大に描いているところがいい。
他の短編を読み進めると「ポラリス」と題されている通り、様々な性の有り様を俯瞰的な視点をもって眺めることができる。

2023/07/17 レビュアー:ひじりぃ

『クィア・ジャパン vol.3 [特集]魅惑のブス パワフル・ブス・ライフ!』

伏見憲明 / 2000 / 勁草書房

マツコ・デラックス氏が表紙を飾り、巻頭で消しゴム版画家・ナンシー関と対談した(発刊当時はナンシー氏を登場させたことのほうが話題だったが)おそらく女装家・マツコが一般メディアデビューした記念碑的な号です。内容は哲学書を数多く出す出版社のサブカル雑誌らしく、難解なところもありますが、神話から江戸時代までの日本文学における「醜さ」の取り扱いの変遷やら、決して美人とは言えなかったある銀幕のスタアの生涯の評論やら、じつに多様な方向から美醜とはなにか、醜き「私たち」の価値や生き残り術など、好奇心を満たす記事が満載です。
SHIPの蔵書は全て「閉架」=貸し出し不可ですので、ぜひ若き日のマツコさんに会いに、足を運んでください。

2023/06/19 レビュアー:Miyaken.

『こどもジェンダー』

シオリーヌ(大貫詩織) / 2021 / ワニブックス

「男の子だから〇〇しないと」「女の子は〇〇だよね」そんなふうに言われた事でもやもやした事がある人や、今までは当たり前と思って疑問に感じていなかった人にもぜひ読んでほしい本。具体的な場面や状況、疑問がたくさん出てくるので、子どもでも大人でも読みやすいです。ジェンダーだけの話にとどまらず、自分を大切にしていいんだよというメッセージがあふれています。

2023/05/15 レビュアー:蒼

『仮面の告白』

三島由紀夫 / 1947 / 新潮社

同性に、しかも残虐なシーンに、ギュンギュン惹かれる思春期の「私」:これが著者三島由紀夫本人の自伝として認められていることもさることながら、中学生の夏休み中のおすすめ図書として何十年も昔から認められているということからも、日本文学や国語という教科もまんざら捨てたもんじゃない、と思えるのです。

2023/04/17 レビュアー:Miyaken.

『ぼくは性別モラトリアム』

からたちはじめ / 2020 / 幻冬舎

作者の方が自分の性別について、子どもの頃から今まで感じた事やどんなふうに対処してきたかという体験談が、具体的なエピソードをたくさん交えながら書かれています。体の事、一人称、服装や化粧、周りから求められる役割などなど、社会で生活する上で、性別の事は色んな場面で出てくるんだよなーと、読みながらあらためて思いました。マンガで読みやすいのですが、内容は読みごたえがあってオススメです!

2023/03/20 レビュアー:翠

『Bitch: The Female of The Species』

Lucy Cooke / 2022 / Doubleday

ダーウィンの進化論「性選択説」=より良い遺伝子を残すために「種」というものは「自然選択説」に反してまでも、大きなツノだの、綺麗な羽だのを、つけるよう進化した(ただしオスに限る):ではメスはどうなの?動物のメスだって生態観察の主役をはるくらいに勇猛で、グラマーで、陰険(?)で…。だけど学術界はそうしたメスに関する発見を200年近くにわたり頑なに曲解してきた、という、「動物(メス)のウンチク」と「学界の変容」の両方が楽しめる構成になってます。 ボノボが友愛的な動機で同性と性交する事実は最近知られるようになったけど、ハワイの新天地で巣作り子育てを始めたコアホウドリの3分の1がメス同士のカップルであること、更年期を超えていよいよ群れのメンバーに尊敬されるシャチ、クマノミのMtFトランスは脳から始まる、といったエピソード、というか、エビデンスが心地よく読めます。

2023/03/06 レビュアー:Miyaken.