
『ポラリスが降り注ぐ夜』
台湾出身の作家が描く、ビアンバーが舞台の連作集。冒頭の「日暮れ」という短編にはSHIPがモデルと思われるコミュニティセンターが出てくるのだが、デビューの時の回れ右して帰りたくなるくらいの緊張感、反動でちょっとタイプの人を見つけたら忽ち落ちてしまう(吊り橋効果)チョロさには覚えがあり懐かしくなった。
相手に全て委ね依存している主人公に辟易してしまうが、初恋なんて大概セクシュアリティを問わずこんな風にみっともないような気もするので、ビアンだからと美化せず等身大に描いているところがいい。
他の短編を読み進めると「ポラリス」と題されている通り、様々な性の有り様を俯瞰的な視点をもって眺めることができる。
2023/07/17 レビュアー:ひじりぃ