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おすすめの図書

セクシュアルマイノリティ(LGBTQ+など)について知りたい、
LGBTQに関する図書を読んでみたい。
ここではスタッフのおすすめ本の紹介と、SHIPで読める本を
調べることができます(蔵書検索は準備中です)。

スタッフのおすすめ図書

『ポラリスが降り注ぐ夜』

李琴峰 / 2020 / 筑摩書房

台湾出身の作家が描く、ビアンバーが舞台の連作集。冒頭の「日暮れ」という短編にはSHIPがモデルと思われるコミュニティセンターが出てくるのだが、デビューの時の回れ右して帰りたくなるくらいの緊張感、反動でちょっとタイプの人を見つけたら忽ち落ちてしまう(吊り橋効果)チョロさには覚えがあり懐かしくなった。
相手に全て委ね依存している主人公に辟易してしまうが、初恋なんて大概セクシュアリティを問わずこんな風にみっともないような気もするので、ビアンだからと美化せず等身大に描いているところがいい。
他の短編を読み進めると「ポラリス」と題されている通り、様々な性の有り様を俯瞰的な視点をもって眺めることができる。

2023/07/17 レビュアー:ひじりぃ

『クィア・ジャパン vol.3 [特集]魅惑のブス パワフル・ブス・ライフ!』

伏見憲明 / 2000 / 勁草書房

マツコ・デラックス氏が表紙を飾り、巻頭で消しゴム版画家・ナンシー関と対談した(発刊当時はナンシー氏を登場させたことのほうが話題だったが)おそらく女装家・マツコが一般メディアデビューした記念碑的な号です。内容は哲学書を数多く出す出版社のサブカル雑誌らしく、難解なところもありますが、神話から江戸時代までの日本文学における「醜さ」の取り扱いの変遷やら、決して美人とは言えなかったある銀幕のスタアの生涯の評論やら、じつに多様な方向から美醜とはなにか、醜き「私たち」の価値や生き残り術など、好奇心を満たす記事が満載です。
SHIPの蔵書は全て「閉架」=貸し出し不可ですので、ぜひ若き日のマツコさんに会いに、足を運んでください。

2023/06/19 レビュアー:Miyaken.

『こどもジェンダー』

シオリーヌ(大貫詩織) / 2021 / ワニブックス

「男の子だから〇〇しないと」「女の子は〇〇だよね」そんなふうに言われた事でもやもやした事がある人や、今までは当たり前と思って疑問に感じていなかった人にもぜひ読んでほしい本。具体的な場面や状況、疑問がたくさん出てくるので、子どもでも大人でも読みやすいです。ジェンダーだけの話にとどまらず、自分を大切にしていいんだよというメッセージがあふれています。

2023/05/15 レビュアー:蒼

『仮面の告白』

三島由紀夫 / 1947 / 新潮社

同性に、しかも残虐なシーンに、ギュンギュン惹かれる思春期の「私」:これが著者三島由紀夫本人の自伝として認められていることもさることながら、中学生の夏休み中のおすすめ図書として何十年も昔から認められているということからも、日本文学や国語という教科もまんざら捨てたもんじゃない、と思えるのです。

2023/04/17 レビュアー:Miyaken.

『ぼくは性別モラトリアム』

からたちはじめ / 2020 / 幻冬舎

作者の方が自分の性別について、子どもの頃から今まで感じた事やどんなふうに対処してきたかという体験談が、具体的なエピソードをたくさん交えながら書かれています。体の事、一人称、服装や化粧、周りから求められる役割などなど、社会で生活する上で、性別の事は色んな場面で出てくるんだよなーと、読みながらあらためて思いました。マンガで読みやすいのですが、内容は読みごたえがあってオススメです!

2023/03/20 レビュアー:翠

『Bitch: The Female of The Species』

Lucy Cooke / 2022 / Doubleday

ダーウィンの進化論「性選択説」=より良い遺伝子を残すために「種」というものは「自然選択説」に反してまでも、大きなツノだの、綺麗な羽だのを、つけるよう進化した(ただしオスに限る):ではメスはどうなの?動物のメスだって生態観察の主役をはるくらいに勇猛で、グラマーで、陰険(?)で…。だけど学術界はそうしたメスに関する発見を200年近くにわたり頑なに曲解してきた、という、「動物(メス)のウンチク」と「学界の変容」の両方が楽しめる構成になってます。 ボノボが友愛的な動機で同性と性交する事実は最近知られるようになったけど、ハワイの新天地で巣作り子育てを始めたコアホウドリの3分の1がメス同士のカップルであること、更年期を超えていよいよ群れのメンバーに尊敬されるシャチ、クマノミのMtFトランスは脳から始まる、といったエピソード、というか、エビデンスが心地よく読めます。

2023/03/06 レビュアー:Miyaken.

『セクシュアル・マイノリティQ&A』

LGBT支援法律家ネットワーク出版プロジェクト / 2016 / 弘文堂

セクシュアルマイノリティの人たちが日常生活「これってどうなんだろう?」と感じる悩みに対して、法律の視点から解決策を教えてくれる一冊。例えば、アウティングすると脅されている、職場で自認する性別の服を着ることはできる?など。色んな日常生活場面で起こり得るLGBTあるあるな悩みと解決策が載っているので「困ったな」というときのヒントになるかもしれません。

2023/02/20 レビュアー:拓人

『10代から知っておきたい あなたを閉じ込める「ずるい言葉」』

森山至貴 / 2020 / WAVE出版

この本は、社会学者の森山先生が中高生向けに日常生活で感じるモヤモヤやイライラの背景を丁寧に読みやすく解説してくれます。「あなたのためを思って言ってるんだよ」、「友達にいるからわかるよ」、「これは差別ではなく区別」。全部で29個のモヤモヤを追ううちに、自分自身も気づかないうちに口にしていたかもとドキッとします。セクシュアリティに特化したわけではありませんが、どれも共通する私自身の思い出と重なりました。大人が読んでも読みごたえのある一冊です。

2023/02/06 レビュアー:ビタミン

『反解釈』

スーザン・ソンタグ(著)高橋康也(訳) / 1996 / ちくま学芸文庫

スーザン・ソンタグの評論集で、原題はAgainst Interpretationといいます。本書に収録されている「キャンプについてのノート」は、世間の”自然”や”普通”に馴染めなかった私にとって「自分の頭の中が書かれているみたい!」と思える衝撃的な文章でした。英語が得意な方は原文で読んでみてください。ちなみに、SHIPに置いてある伏見憲明著『キャンピィ感覚』も”キャンプ”について書かれたエッセイ集で、こちらもおすすめです。

2023/01/16 レビュアー:Neon

『同性愛者たち』

井田真木子 / 1994 / 文藝春秋

「府中青年の家裁判」、日本のセクシュアルマイノリティの歴史の中の大きな出来事であり、また当事者やアライならば知っておくべき一般教養であるかのように語られる出来事ですが、この本は週刊文春の記者さんが原告グループメンバーそれぞれの自分史=「もう一つの青春」と、本事件と裁判の展開とを、スピード感をつけて織り混ぜて描かれています。文庫本一冊分の量ですので、読みやすくわかりやすいです。

2023/01/02 レビュアー:Miyaken.