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おすすめの図書

セクシュアルマイノリティ(LGBTQ+など)について知りたい、
LGBTQに関する図書を読んでみたい。
ここではスタッフのおすすめ本の紹介と、SHIPで読める本を
調べることができます(蔵書検索は準備中です)。

スタッフのおすすめ図書

『じぶんであるっていいかんじ きみとジェンダーについての本』

(作)テレサ・ソーン、(絵)ノア・グリニ、(訳)たかいゆとり / 2024 / エトセトラブックス

ページをめくると鮮やかで、彩り豊かな描写で、ながめているだけでも楽しい絵本。その中で、自分が自分であること、「じぶんであるっていいかんじ」というとても大切なメッセージが伝わってくる。マイノリティ、マジョリティ問わず、子どもにも大人にも読んでほしい1冊。

2024/08/19 レビュアー:翠

『オレンジだけが果物じゃない』

(作)ジャネット・ウィンターソン、(訳)岸本佐和子 / 2011 / 白水社

カルト系キリスト教の養母を持った主人公ジャネットは、宗教家としての英才教育を受けて育った。母は絶対的で時に狂気的存在だったが、ジャネットは女性と恋愛関係を持つことで自分の居場所であった母や教団から全否定され、それをきっかけに自立していくという自伝的小説。途中途中に寓話が挟み込まれているが、だんだん現実と寓話が混ざっていく、という概要です。

モチーフにしている題材は、私の知識不足で何を象徴しているのか取りづらいことがありましたが、面白い作品でした。文庫帯、エッセイ等でも大活躍されている岸本佐知子さんの翻訳で、概要のボリュームの割には読みやすいと感じました。

2024/07/15 レビュアー:ほたるいか

『マリはすてきじゃない魔女』

柚木麻子 / 2024 / エトセトラブックス

「LGBTQでも、あなたはいい人だから受け入れてあげる」
面と向かって言われたことはなくとも、そのようなニュアンスの善意を向けられたことがある。そして知らずに、自分もまた「受け入れられるために、皆と同じだって示さなきゃ。皆にとっていい人にならなきゃ」と過剰に「イイヒト」を演じてしまうことがある。

主人公のマリは魔女っ子。人間と共生するために、「人のために魔法を使うのが素敵な魔女」という価値観が街を支配しているが、マリは違う。大好きなドーナツを大きくしたり、髪や目の色をお洒落に変えたりと自分のために魔法を使うのだ。自分のために魔法を使おうよ!魔女だってありのまま、もっと自由に気楽に生きていいじゃん!そんなマリのパワーが、やがて街の人々にかけられた「誰かのために素敵でいなきゃいけない」という呪いを打ち破って…というお話。

マリにはお母さんが2人いたり(ビアンのパートナー同士)、友達がトランスジェンダーの女の子だったりと、クィアな面々が当たり前に登場し受け入れられているのもいい。

同じ作者の「らんたん」や「ナイルパーチの女子会」も、素敵なシスターフッドのお話しでオススメ。

2024/06/17 レビュアー:ひじりぃ

『ピンクはおとこのこのいろ』

(文)ロブ パールマン(絵)イダ カバン (訳)ロバート キャンベル / 2021 / KADOKAWA

「ピンクは男の子の色?どういうこと?」そんなふうに思ったあなたにぜひ読んでほしい。思えば、小さい頃から、おもちゃ、洋服、ランドセル、身の回りの物の種類や色に勝手に「男の子のもの」「女の子のもの」そんな意味合いがくっつけられていた。この絵本は、ページをめくるたびに、カラフルで、とっても楽しい気持ちになれる。勝手に「男の子の色」「女の子の色」と決めつけられた事にもやもやしていた、あの頃の自分と一緒にながめてみたい、そんなふうに思った絵本。

2024/05/20 レビュアー:蒼

『いろいろな性、いろいろな生きかた① 『いろいろな性ってなんだろう?』』

渡辺大輔(監修) / 2016 / ポプラ社

いろいろな性、いろいろな生きかた3巻シリーズの1巻目。
『性には、いろいろなものがあるんだよ!』分かっているようで知らない、性についての基礎知識をわかりやすい言葉で解説してあります。マンガのパート、当事者の声、コラムなどもあって、なかなかな情報量で読みごたえもあります。
小学校中学年くらいの子ども向けに書かれた本ですが、LGBTのことをよく知らない大人の人も子どもと一緒に読めば学べるものがあるかも!

2024/04/15 レビュアー:拓人

『しまなみ誰そ彼』

鎌谷悠希 / 2015 / 小学館

「なんでも話して。聞かないけど」
レズビアン、ゲイ、トランス、異性装、アセクシュアル…様々なセクシュアリティを持つ人々が、談話室と呼ばれる古民家に集いその再生プロジェクトに緩く関わる中で、自らも『再生』していく。尾道の坂や船と共に生きる優しい景色が逆に息苦しくなるほど、困難の中でもがく人々の心情とコントラストを描き、抒情的な台詞回しも相まって繊細な印象を残す。誰そ彼ーーあなたは誰?ーーへの自分なりの答えを獲得していく登場人物たち。ビアンだからこんな悩みだろう、トランスだからこういうものを求めているだろう、ではなく、その人個人が大切にしているものを汲み取り支持する。その姿勢を大切にしたいと読後に改めて思った。

2024/03/18 レビュアー:ひじりぃ

『LGBTだけじゃない! わたしの性 性役割/性別表現』

佐々木掌子 監修 / 2023 / 国土社

この本は、「多様性」や、「性別らしさ」など世の中でいわゆる当たり前とされてきたことに、本当にそうなの?と問いかけ、LGBTだけじゃない私たちの「性」をどんなものも肯定していきます。言葉にするって大事だなぁと感じながら、子どもからカミングアウトを受けて戸惑っている親も先生方も子どもたちも、みんながストンとこの視点に立てたらいいなと思いました。

2024/02/19 レビュアー:はるか

『片想い』

東野圭吾 / 2001 / 文芸春秋

東野というからにはミステリーだ。驚くのは、昨今ならまだしも「3年B組金八先生」ですらまだ取り上げていなかった「性同一性障害」を題材に、友情と恋愛を絡ませてミステリー仕立てにした作品であることだ。東野は、登場人物に、男と女の境目は書類(戸籍)が正しいというわけじゃなく、メビウスの帯のような連続線だと言わせている。ジェンダー多様性に対して一方的な決めつけをする社会への怒りも随所に感じる。片想いの主についても複層的。ジェンダー違和についても何が正しくてなにが的外れかなどと考えること自体がお門違いな気がして東野のミステリー世界に迷い込む。しかし、読後の気分は良い。東野圭吾、恐るべし。

2024/01/15 レビュアー:はるか

『たまごちゃん、たびにでる』

(文)フランチェスカ・パルディ、(絵)フランチェスコ・トゥーリオ・アルタン / 2013 / イタリア会館出版部

主人公のたまごちゃんが、いろいろな”かぞく”に会うために旅に出るというお話の絵本です。家族という言葉からイメージするものは人それぞれだと思うけれど、”かぞく”にも色々な形があって、それに対するたまごちゃんのコメント、思いが素敵。ぜひ読んでみてください。

2023/12/18 レビュアー:蒼

『トランスジェンダー入門』

周司あきら、高井ゆと里 / 2023 / 集英社

まず、「入門」と言いながら他の入門書とはあきらかに一線を画していた。様々なデータを用いてトランスジェンダーの現状を明らかにし、単に身体の性と心の性が違うという理解にとどまらないトランスジェンダーの全体像を明らかしている。ノンバイナリーについても触れられている内容は深くて幅広く、社会啓蒙という意味でも心強い「入門書」。少数派への社会の不条理に対する著者らの憤りを感じて、読み進めるうちに背筋が伸びた。トランスジェンダー理解を目指す人には、是非一読を勧めたい。

2023/11/20 レビュアー:ハルカ