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おすすめの図書

セクシュアルマイノリティ(LGBTQ+など)について知りたい、
LGBTQに関する図書を読んでみたい。
ここではスタッフのおすすめ本の紹介と、SHIPで読める本を
調べることができます(蔵書検索は準備中です)。

スタッフのおすすめ図書

『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ』

小川一水 / 2020 / ハヤカワ文庫

さて、全国の百合SFファンのみなさまお待たせしました、ってえらくニッチな(とても対象が少ない)話になっていますが、今回はエンタメ書籍のご紹介です。

海外だとスターウォーズ然り、ターミネーター然りとSFというジャンルはそこそこ認知があるのですが、なぜか日本では少ないですね。

小松左京さんとか伊予原新さんとか、魅力的な作家さんはたくさんいるのですけど、今回はそんな中でも私がイチオシの小川一水さんの書く百合世界!

本格SF作家さんだから(天冥の標とか最高です)難しい設定用語とかも出てきちゃいますけど、そこは読み飛ばしても楽しいからご心配なく。

あらすじとしては、異性婚夫婦で漁をしないといけないと伝統で定められた世界で、最高のペアになりそうな女と女がルールなんて知らんと大暴れするお話。

現代社会への皮肉はもちろん、しっかりSFとしてのストーリー展開もあり、スッキリした読後感を堪能できますよ。SF読んだことないって人にもおすすめです。

2026/01/18 レビュアー:パフェねこ栞

『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』

大前粟生 / 2023 / 河出文庫

本としてはあまり見かけないアセクシュアル、その一端がなんとなく垣間見れる作品。本の感想や紹介としてどうなの?とは思うものの、アセクって普通すぎて話にならないのかも。

この作品はHSP(過度に繊細で傷ついたり疲れたりしやすい人)傾向が強いのでなおさらそう感じるかもだけど、でも「ノリ」についていけない、って普通じゃない?SNSのノリとか、部活・サークルのノリとか、芸人のノリとか。

アロマンティック・アセクシュアルだと恋愛話に「合わせる」のに疲れて、でもなんとなく繕うみたいに付き合ってみて、そして傷つけて、その事実に自分も傷つく、っていう一連はとてもよくわかる。でも、それってたまたま恋愛というものの「ノリ」に合わなかっただけで、変とか変じゃないとかいう話じゃないよね?

そんな時に、あるいはそんな人に、こっちの世界観で生きづらさを押し付けてこなかったかなってちょっと反省。表題作以外はなかなかにヘビーな「優しさ」を扱ったお話が続くので、できればメンタル万全な時にお読みくださいませ。

2025/12/26 レビュアー:パフェねこ栞

『プリンセス・トヨトミ』

万城目学 / 2011 / 文春文庫

15年前の大ヒット作。映画にもなったのであらすじをご存知の方も多いでしょう。ある日、大阪が全停止するハチャメチャストーリーで、エンターテイメント作品として完成してます。

実はこれ、堂々としすぎてるけどマイノリティ作品ですよね。検査院じゃない方の主人公、大輔。女の子になりたいって毎日お祈りして、それじゃ変わらないからとセーラー服で学校に行くって決意して、そして壮絶にイジメられる。

15年前、世界は確かにこんなだった。大輔は結局「男」が「女」になるって構図だったけど(そうじゃないとストーリーが噛み合わないしね)、でも今だったら「なる」じゃなくて「本来」女なんだって思えるのかもしれない。今もセクマイに辛さはあるけど、こういう先輩たちの、それこそ人生をかけた戦いの上に成り立ってる。

今日もそこで戦ってる君に言いたい。ありきたりだけど、君は1人じゃないよ。

「ああーー、私まで緊張してきた」

「自分が大事やと思うものは、自分で守れ」

「おっちゃんもおばちゃんも、知らんとこでアンタのために戦ってんねんで」

「はよ、好きなときに着られるようになったらええな」

 

それでも孤独になったら、SHIPにきてください。

2025/11/21 レビュアー:パフェねこ栞

『9月1日の朝へ』

椰月美智子 / 2025 / 双葉社

すみません、LGBTQの枠、超えちゃいました。全ての若者、そして全ての大人に読んで欲しい、悩める家族のお話。

ルッキズム全開の友も含め周囲への優しさの塊のような智親。ストレートな言動で急にいじめの対象になった民。メンタルマッチョの善羽を襲う哀しい現実。そして性別がわからなくなったけどとりあえず「自分」に素直に生きようとする武蔵。

個性だけでもみんなバラバラ。感じ方も、ぶつかる壁も、みんなバラバラ。苦しさとか比べてもしょうがなくて、みんな辛い経験から学び、成長し、そして素敵な人になっていく。

性別なんてさ、その程度のもんなんだよ。本人にとっては今、それが一番深刻な問題で、それでイッパイイッパイなんだけど、でも、性別に悩みが無い人も性別以外の事でイッパイイッパイだったりするわけで、それって別に特別でもない普通のことじゃない?

大事なのは、そこから自分を見つけ、精一杯生きていくこと。そして、そういう人たちを大事にできる人になること、なんじゃないかなと思える、思ってほしい、そんな一冊。

2025/10/17 レビュアー:パフェねこ栞

『先輩はおとこのこ』

ぽむ / 2021 / 一迅社

まこと(男の娘)とりゅーじ(♂)と咲(♀)の3人の高校生活恋愛コミック。同名アニメと映画の原作。念のため男の娘とは、何らかの理由と意思で女の子の格好をしている男子を言います。性自認が女性の場合は女の子になるので基本は男性自認なのでしょうが、悩み、揺れる方も多いように思います。

本作は元々、縦読みコミックで泣きながら読んでいた作品で、今は紙媒体でも出ているのですが、若干紙だと間延びした印象もあるので、もし電子でもいいよという方は電子媒体縦読みがよいかもです。

LGBT未満で揺れ動く思春期を切り取った作品なので、性別で揺れてる方が読めば作中の誰かには「そうそう!」ってなれる場面がある気がします。個人的には3人が3人ともに素敵すぎていつ読んでも鼻血が止まりません。

とは言えフィクションですから。夢は与えてくれるけれども。現実はこんな外見整った人たちみたいにはなりませんよ。なんですけど、内面は彼らみたいに真っ直ぐでありたいと思うし、みなさんにもその気持ちを忘れないでいただきたいと願います。心の背筋を正したい時にどうぞ。

2025/09/19 レビュアー:パフェねこ栞

『私と弟のにじいろの幸せ』

珠川こおり / 2025 / 講談社文庫

これを読んでいるあなたが「どっち側」なのかはわからないんですけど、「こっち側」の人は「そっち側」の気持ちはわからないし、逆もまた然りじゃないですか。だからというわけではないんですけど、私は「そっち側」の気持ちを知りたくて手に取りました。
ネタバレしないよう背表紙のあらすじ内でご紹介すると、バイの彼氏と付き合ってる主人公の茂果ちゃんが、腐向けBLに傾倒する弟はゲイなんじゃないか?と勘繰るお話。「そんなの放っとけよ(そっとしてやれ)」とか「それは困ったね…」とか思った人は、いいからとりあえず読みましょう。
見て見ぬふりとか、普通という謎の正義感とか、大事な人との関係には持ち込まないで欲しいなと思うようなものが世の中には多々あって、だけどなんでそうなっちゃうんだろう?を理解しないとお互いずっと一方通行だと思うわけです。決してこの本を読んだからといって、どうしてそうなるの?がわかるわけではないんだけど、人間そこじゃないよね、が理解し合えるともうちょっと幸せになれるんじゃないかな、お互いに。
あと、かわいいの権化な穂垂には嫉妬しかないです。

2025/08/23 レビュアー:パフェねこ栞

『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』

浅原ナオト / 2020 / 角川文庫

涙無しに読めない。タイトルからしてどこぞの浅いラノベのような雰囲気がするけど、それで手に取ってないっていうちょっと前の私みたいな人がいたらもう、その人の手を取って押し付けちゃうくらいの本。いや、ラノベをディスってるんじゃないです、そうじゃなくてタイトルで内容を邪推しちゃってる人、という意味です。
私は残念ながら主人公やその他登場人物とは指向が異なるので、根っこの部分でどう思うか、感じるか、その機微やリアリティはわからない。でも隠すとか、普通を装うとか、言ってない自分が悪いとか、自分なんで生まれたんだろうとか、この人のこと好きなんだけどその好きと欲しい好きが違いすぎて切ないとか、押し寄せる悩みの洪水には共感しかない。
今まさに絶賛悩み中で生きづらいと感じているあなた、マイノリティの頭の中が覗いてみたいあなた、そして全て悟って懐かしく過去を振り返りたいあなたに。
あ、描写のオブラートが少々弱めなので、それだけお気をつけくださいね。(『腐女子、うっかりゲイに告る』というタイトルで映像化もされました。)

2025/07/11 レビュアー:パフェねこ栞

『彼岸花が咲く島』

李琴峰 / 2024 / 文春文庫

『ポラリスが降り注ぐ夜』の作者による謎の島のお話。主人公の宇実(ウミ)にもダブル主人公の游娜(ヨナ)にも性的指向の偏りがありそうなエピソードがところどころ散りばめられています(いわゆる百合作品と認識されている方も)が、本作の主題はLGBTQ+ではありません。
舞台の島は、女性だけが学べることがあり、女性だけが就ける職業があり、それに嫉妬し憧れる男性がいる、まさに少し前の、もしかすると今でもそうかもしれませんが、男性優位社会をさかさにしたような不思議な世界。
なぜそんなルールが作られたのか?どうして性別で区別しなければならないのか?
ある日島に流れ着いた宇実の疑問から「性別」や「特権」の意味を考える日々が語られ、そして思考が現代日本と繋がった時、今の社会、今の世界の有り様を問い直す壮大な次元へと一気に読者の思考を誘ってくれます、と思います(最後は少し気弱…)。
2021年芥川賞。

2025/05/25 レビュアー:パフェねこ栞

『ぼくの嘘』

藤野恵美 / 2015 / 角川文庫

前作『わたしの恋人』の龍樹とせつなは読んでるこっちが爆死するくらい王道のアオハルカップル。それが一転、本作の勇太とあおいは「普通じゃない」。普通って表現は好きじゃないけど、龍樹×せつなと対比する作りになってるから、やっぱり「普通じゃない」。でも普通じゃないけど、共感も理解もなんなら移入もできる。
好きになった人が好きな人。だって普通だからとか異性だからとかで好きになるわけじゃなくて、その人のトクベツを好きになるから。だけどそれが恋愛感情なのか、そして成就するか、は別問題なのが現実。だからみんな多少なりとも気持ちに『嘘』で蓋して生きていく。そんなリアルと、逆にその『嘘』をスッキリ吐き出して、それでサラッと流されたらもう、嬉しすぎて小躍りするよねっていうマイノリティあるあるをジェットコースターで体感できる作品。
作風はものすごくライトなんだけど、こんなにたくさん考えさせられて、そして最後それかよっ!ここまでの私の気持ち返せよっ!て展開まで用意してくれてて楽しめる小説です。「普通」を知るために前作から続けてお読みください。決して「普通」じゃないのでご心配なく。(でも普通としか表現できないという…)

2025/04/21 レビュアー:パフェねこ栞

『わたしはわたし。あなたじゃない。 10代の心を守る境界線「バウンダリー」の引き方』

鴻巣麻里香 / 2024 / リトルモア

「バウンダリー」というのは、自分と他者を区別する違いのことで、その違いを守るもの、つまり「私は私」という境界線のことだそうです。学校生活や家族、進路、恋人との関係など身近で具体的なエピソードをもとに、自分以外の人との関わり方や考え方について分かりやすく説明してくれています。
本の内容を知っていることで、自分を守るひとつの武器になるのではと思いますし、私自身学生の頃にこの本を読みたかったなぁと思いました。エピソードは中高生向けですが、大人にもぜひ読んでほしいです。
この本が言語化してくれることで、かつての自分が傷ついた、又は傷つけてしまったことが頭で再現されて少ししんどくなる場合もあるかもしれません。少しずつ読んだり、途中でストップしたり、調整していただくのも良いかと思います。

2025/03/17 レビュアー:サタデーナイト