
『ぼくの嘘』
前作『わたしの恋人』の龍樹とせつなは読んでるこっちが爆死するくらい王道のアオハルカップル。それが一転、本作の勇太とあおいは「普通じゃない」。普通って表現は好きじゃないけど、龍樹×せつなと対比する作りになってるから、やっぱり「普通じゃない」。でも普通じゃないけど、共感も理解もなんなら移入もできる。
好きになった人が好きな人。だって普通だからとか異性だからとかで好きになるわけじゃなくて、その人のトクベツを好きになるから。だけどそれが恋愛感情なのか、そして成就するか、は別問題なのが現実。だからみんな多少なりとも気持ちに『嘘』で蓋して生きていく。そんなリアルと、逆にその『嘘』をスッキリ吐き出して、それでサラッと流されたらもう、嬉しすぎて小躍りするよねっていうマイノリティあるあるをジェットコースターで体感できる作品。
作風はものすごくライトなんだけど、こんなにたくさん考えさせられて、そして最後それかよっ!ここまでの私の気持ち返せよっ!て展開まで用意してくれてて楽しめる小説です。「普通」を知るために前作から続けてお読みください。決して「普通」じゃないのでご心配なく。(でも普通としか表現できないという…)
2025/04/21 レビュアー:パフェねこ栞