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おすすめの図書

セクシュアルマイノリティ(LGBTQ+など)について知りたい、
LGBTQに関する図書を読んでみたい。
ここではスタッフのおすすめ本の紹介と、SHIPで読める本を
調べることができます(蔵書検索は準備中です)。

スタッフのおすすめ図書

『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』

浅原ナオト / 2020 / 角川文庫

涙無しに読めない。タイトルからしてどこぞの浅いラノベのような雰囲気がするけど、それで手に取ってないっていうちょっと前の私みたいな人がいたらもう、その人の手を取って押し付けちゃうくらいの本。いや、ラノベをディスってるんじゃないです、そうじゃなくてタイトルで内容を邪推しちゃってる人、という意味です。
私は残念ながら主人公やその他登場人物とは指向が異なるので、根っこの部分でどう思うか、感じるか、その機微やリアリティはわからない。でも隠すとか、普通を装うとか、言ってない自分が悪いとか、自分なんで生まれたんだろうとか、この人のこと好きなんだけどその好きと欲しい好きが違いすぎて切ないとか、押し寄せる悩みの洪水には共感しかない。
今まさに絶賛悩み中で生きづらいと感じているあなた、マイノリティの頭の中が覗いてみたいあなた、そして全て悟って懐かしく過去を振り返りたいあなたに。
あ、描写のオブラートが少々弱めなので、それだけお気をつけくださいね。(『腐女子、うっかりゲイに告る』というタイトルで映像化もされました。)

2025/07/11 レビュアー:パフェねこ栞

『彼岸花が咲く島』

李琴峰 / 2024 / 文春文庫

『ポラリスが降り注ぐ夜』の作者による謎の島のお話。主人公の宇実(ウミ)にもダブル主人公の游娜(ヨナ)にも性的指向の偏りがありそうなエピソードがところどころ散りばめられています(いわゆる百合作品と認識されている方も)が、本作の主題はLGBTQ+ではありません。
舞台の島は、女性だけが学べることがあり、女性だけが就ける職業があり、それに嫉妬し憧れる男性がいる、まさに少し前の、もしかすると今でもそうかもしれませんが、男性優位社会をさかさにしたような不思議な世界。
なぜそんなルールが作られたのか?どうして性別で区別しなければならないのか?
ある日島に流れ着いた宇実の疑問から「性別」や「特権」の意味を考える日々が語られ、そして思考が現代日本と繋がった時、今の社会、今の世界の有り様を問い直す壮大な次元へと一気に読者の思考を誘ってくれます、と思います(最後は少し気弱…)。
2021年芥川賞。

2025/05/25 レビュアー:パフェねこ栞

『ぼくの嘘』

藤野恵美 / 2015 / 角川文庫

前作『わたしの恋人』の龍樹とせつなは読んでるこっちが爆死するくらい王道のアオハルカップル。それが一転、本作の勇太とあおいは「普通じゃない」。普通って表現は好きじゃないけど、龍樹×せつなと対比する作りになってるから、やっぱり「普通じゃない」。でも普通じゃないけど、共感も理解もなんなら移入もできる。
好きになった人が好きな人。だって普通だからとか異性だからとかで好きになるわけじゃなくて、その人のトクベツを好きになるから。だけどそれが恋愛感情なのか、そして成就するか、は別問題なのが現実。だからみんな多少なりとも気持ちに『嘘』で蓋して生きていく。そんなリアルと、逆にその『嘘』をスッキリ吐き出して、それでサラッと流されたらもう、嬉しすぎて小躍りするよねっていうマイノリティあるあるをジェットコースターで体感できる作品。
作風はものすごくライトなんだけど、こんなにたくさん考えさせられて、そして最後それかよっ!ここまでの私の気持ち返せよっ!て展開まで用意してくれてて楽しめる小説です。「普通」を知るために前作から続けてお読みください。決して「普通」じゃないのでご心配なく。(でも普通としか表現できないという…)

2025/04/21 レビュアー:パフェねこ栞

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